ライター 一寸木芳枝
全国1位を獲得したピザが東京に。この3千円の価値の高さたるや!
ライター歴26年。ゴルフとお酒をこよなく愛する江戸っ子。毎月、本誌でのライティングに複数企画携わる。美食を求め、よく出没するエリアは銀座、築地、月島、勝どき。
神楽坂『400℃ PIZZA TOKYO』。これまでのピザの記憶が全部ふっ飛び、上書きされる!
『400℃ PIZZA TOKYO』:今年の3月に誕生したばかりの同店は、神楽坂の閑静な住宅街にひっそりと佇む。和紙作家・ハタノワタル氏が手掛けたカウンターは、ピザらしく“不ぞろい”がイメージだ
まるでラボのような雰囲気の『400℃ PIZZA TOKYO』(神楽坂/ピザ)の店内に鎮座するコンベヤーオーブン。その上を、生地が流れていく様は、高校時代、某ピザチェーンでバイトしていた私には、懐かしさすら覚える光景だ。
だが同時に、ピザを焼く熱源には、薪>電気>ガスというヒエラルキーがあると思い込んでいた身からすると、本当に美味しいピザにありつけるのか、懐疑的な気持ちも湧いてくる。
が、それもひと口味わうまでの話。岡山に本店を構え、某レストランサイトで全国1位を獲得したというのもそのはず、熱々の生地にかぶりつけば、感動のあまり言葉も出ない。
『400℃ PIZZA TOKYO』:“ふんわり、にっこり、とびっきり”の頭文字から取った看板メニュー「FNT」¥3,300。ブルーチーズとマスカルポーネ、食べる直前にかける蜂蜜が混然一体となり口内を満たす
トッピングもチーズも生地も素朴なのに、なぜ?その答えが知りたくて、もう1枚、もう1枚、と手が伸びる。
【感動に震えたピザの秘密は生地にあり】
『400℃ PIZZA TOKYO』:高加水の生地は仕込みに4日間かける
①高加水の生地は仕込みに4日間かける!
加水率を高くすることで、しっとりした風合いに。こねると強いグルテンが出るため、小麦と水を軽く混ぜただけで自然とくっつくのを待つ。
『400℃ PIZZA TOKYO』:コンベヤーオーブンは350℃、約2分がベスト
②コンベヤーオーブンは350℃、約2分がベスト
多くの人に食べてもらうため、東京では熱源を変更。岡山の本店の味を再現するため、ガスではこの設定温度と焼き時間がベストという結論に。
『400℃ PIZZA TOKYO』:エアリーなのにもっちりという無二の生地に
③エアリーなのにもっちりという無二の生地に
麺棒ではなく手で伸ばして成形すると、生地がリラックスし、外はクリスピーで中はふわモチな食感に。また、いびつな凹凸が食感にコントラストを生む。
店を後にして思うのは、洗練を極めるとシンプルへと行き着く、ということ。
金銭の多寡ではない、大人の本当の満足感って、そういうことなんだと思う。
『400℃ PIZZA TOKYO』(神楽坂/ピザ)への投稿写真を紹介
フードライター 渡辺ゆり子
限界まで食べて飲んでも1万円台。こんなに幸せでいいんですか?
ライターに留まらず、花やインテリアのコーディネーターなど、多岐にわたり活躍。シャンパンを愛するあまり、銀座で自身のシャンパンバーを営むという一面も。
小伝馬町『TROMPETTE(トロムペット)』 。この3品とワインでもひとり1万円台なの!
『TROMPETTE(トロムペット)』:8席だけの小さなお店。ホーミー&コージーな温かな雰囲気でゆっくり楽しめます。シェフが料理とひとり奮戦している気配が良いの
美味しい物とワインで、仲間とワイワイしたいなーって時ないですか?もちろん、リーズナブルなお値段でね。そんな希少価値のお店があるのですよー。
いまや世界で一番美味しいレストランがそろうグルメ大国ニッポン。中でもレストランがしのぎを削るトーキョー。の下町、小伝馬町にまさしくそのお店があります。それが、『TROMPETTE(トロムペット)』(小伝馬町/バー(BAR)) 。
シェフが管楽器を好きなことから店名はトロムペット。小伝馬町駅から大通りを路地に入ったら、トランペットを看板代わりに飾っている店を探してくださいね。
2017年のオープン以降、人気がうなぎ登り状態。コロナ禍中はふたり客がほとんどで、ここでプロポーズすると100%の成功率という伝説まで。シェフがひとりで切り盛りする小さなビストロなので、貸し切り利用も多い。
お料理はどれもボリューミーで大胆な盛り付けなので、料理が出て来るたびに歓声が沸くはず。何度でも乾杯しましょ。
ズワイガニたっぷり!この迫力に歓声必至です
『TROMPETTE(トロムペット)』:ズワイガニの濃厚なリゾットとブッラータ・チーズ
映え狙いではない圧巻のボリューム。
ズワイガニの濃厚なリゾットとブッラータ・チーズ。ビスクソースでどうぞ。¥5,800。
『TROMPETTE(トロムペット)』:「ポルチーニムースを詰めた牛フィレのパイ包み焼き」
エシャロットソースでいただく「ポルチーニムースを詰めた牛フィレのパイ包み焼き」¥8,400。
『TROMPETTE(トロムペット)』:「岩手県産 短角牛のタルタル」
「岩手県産 短角牛のタルタル」(¥5,600)はシンタマの部位を使用し、溢れんばかりのフライドポテトとともに。量は4人分が目安。
『TROMPETTE(トロムペット)』:ワインは¥6,000~、遠慮なく飲んで!
シェフが吟味したお手頃価格のフランスワインがそろっているのでペアリング的に飲むことも可能(飲まない場合はチャージが¥3,000)。
フードライター 小寺慶子
町焼肉のために関西に飛ぶ私でも、東京のこの2軒には度肝を抜かれた!
肉を糧に生きる肉食系ライターとして雑誌やwebに執筆。趣味はひとり焼肉とミートリップ(肉旅)。『叙々苑』の全国制覇を目指して“叙々活”中。好きな部位は肩ロース。
京成立石『焼肉幸泉』。2代目の技が光るレトロ焼肉は、至極の口福にありつける
『焼肉幸泉』:京成立石駅より徒歩1分に位置
ディープ系の町焼肉なら関西に勝るものなし、と長いこと思っていた。
煙がもうもうと立ち上がる狭い店で友人と肩を並べて冷えたビールを飲みながら、気ままに肉を焼く。そんな焼肉好きの恍惚体験を叶えてくれる店が、東京・立石の『焼肉幸泉』(京成立石/焼肉・ホルモン)だ。
昭和のムードが色濃く残る商店街で、43年前に祖母が始めた小さな焼肉店を受け継いだのは安 龍秀さん。噂が噂を呼び、2025年まで予約で埋まる店になるとは「想像もしていなかった」と話す。
高校卒業後、都内の有名店で肉の扱いを学んだ安さんのポリシーは「銘柄や等級にしばられず、本能的に美味しいと感じる焼肉を追求する」こと。
ゲストが食べるスピードを見ながら、肉の部位に合わせた下味をつけて提供する。桃色に輝くタンやにんにくダレで食べる赤身など、ド直球の旨さに悶絶。
関西の焼肉カルチャーをも凌駕する“腕力”に心が奪われる
『焼肉幸泉』:柔らかく噛むほどに赤身の旨みを感じる
「赤身角切」¥1,500。
国産ホルスタインのシンシン。面を焼きつけ、中までしっかり熱を入れると驚くほどの柔らかさに。基本のつけダレはなく、肉に合わせて提供。にんにく醤油ダレにつけると昇天!
『焼肉幸泉』:好みの焼き加減で花マルの美味しさに♡
「ユッケ焼き」¥2,000。
祖母から引き継いだという花型の鋳物は熱伝導に優れ、じんわりと火が入る。内ももを使う店も多いが、きめ細かい肉質のリブロースを使用。しっとりした脂がユッケの旨さを底上げ。
『焼肉幸泉』:表面に潤みを湛えたしっとり食感にタン溺
「タン塩」¥2,000。
判の大きさを見ながら、ほぼ誤差なしでカット。脂肪分が多い部位なので、さっぱりと梅ダレでいただく。もみだれには塩胡椒にごま油、たっぷりのにんにくと隠し味に日本酒も少々。
関西の焼肉カルチャーをも凌駕する“腕力”に心が奪われる。
『焼肉幸泉』(京成立石/焼肉・ホルモン)への投稿写真を紹介
野方『三宝苑』。半世紀を経て進化した新星が、圧巻の盛りで老若男女の胃袋を刺激
『三宝苑(さんぽうえん)』:幸福の象徴ともいえる焼肉店の原風景に心が癒される
「なぜ、焼肉が好きなのか?」と聞かれたら、無条件に心がときめくイベント性があるからと答える。
ロースターと肉を囲めば、ファミリー連れもカップルもみんなが笑顔。幸福の象徴ともいえる焼肉店の原風景に心が癒されるのが、野方の『三宝苑(さんぽうえん)』だ。
子どもの頃から家族で通った思い出深い焼肉店。元オーナーから継ぎ手を探していると聞き、手を挙げた木村徹皓さんは焼肉店を営む実弟(高円寺で大人気の『焼肉ここち』の店主)や友人のアドバイスを得ながら、焼肉店の原風景を想起させる焼肉店を目指す。
肉は和牛や国産牛に限定せず、味つけとカットで勝負の心意気。
縦切りの白髪ねぎを巻いて食べるタンや、すりたての生姜と醤油ダレをしっかりもみこんだ三宝苑ロースなど、焼肉店に通う高揚感がよみがえるメニューが目白押しだ。
独創的なアイデアで、東京焼肉のトップを独走する日もきっと近い!
『三宝苑(さんぽうえん)』:US産のハラミはタレのパンチを全面に
「ハラミ」¥1,200。
USプライム牛のハラミは、塩かタレか選ぶことができる。タレの場合は、季節のフルーツを使った秘伝のタレで下味をしっかりともみこんで提供。芝浦直送の上ハラミと食べ比べても。
『三宝苑(さんぽうえん)』:このひと皿で再訪を誓うロースは生姜タレが人気
「三宝苑ロース(しょうが味)」¥1,100。
薄切りのロースにしっかり効いた生姜がクセになり、リピーター続出。もみダレには干ししいたけや昆布なども。注文が入ってから生姜をするため、フレッシュな風味を堪能できる。
『三宝苑(さんぽうえん)』:白髪ねぎを巻いて食べれば思わず感タンのため息
「タン塩」¥1,800。
肉は冷凍をせずにチルドの状態で仕入れ、焼きやすいようにやや厚めにカット。さっくりとした歯ごたえは絶妙なカットの技にあり。にんにくやごま油の下味で、パンチのある味わい。
独創的なアイデアで、東京焼肉のトップを独走する日もきっと近い。
■店舗概要
店名:三宝苑
住所:中野区野方5-19-10
TEL:03-3330-3167
営業時間:17:00~(L.O.22:00)
定休日:不定休
席数:テーブル48席、大個室1(28席)
フードライター 森脇慶子
あの『六雁』出身なのに居酒屋価格。食通は俄然、東長崎に集ってます
フードライターの先駆けとして食ひと筋40年余り。立ち食い蕎麦からグランメゾンまで、“食に貴賎なし”が信条。人生で最も多く食したのは鮎の塩焼きで、その数約6,000尾。
東長崎『飲食店 氵 さんずい』。燗酒と共鳴するジャンルレスで技ありな小料理が¥300〜!
『飲食店 氵 さんずい』:ターンテーブルからLPが流れる店内は、居抜きで引き継いだもの。そこに年代モノの“だるま”など自身の趣味を融合させている
面白い店ができたと聞いて赴いた先は西武池袋線・東長崎駅。昭和の趣を残す商店街の一角に、今年オープンしたのがここ『飲食店 氵 さんずい』。
まるでカフェのような空間が広がるイマドキ酒場である。店構えがユニークならお酒もまた然り。
『飲食店 氵 さんずい』:独立前は富ヶ谷『酒坊主』などで燗酒への造詣を深めた鈴木さん
燗酒に魅せられた店主・鈴木 淳さんによる、常時40種以上という燗酒に適した日本酒のラインナップが圧巻だ。
「燗酒は味に余計な複雑さがなく、料理に寄り添ってくれる。冷めていく時の香りの変化も好きですね」と語る鈴木さんは、料理人としても星付き和食『六雁』などで修業した実力派。
『飲食店 氵 さんずい』:「カンパチのヅケと菜の花」¥800。カンパチは津本式で血抜きし、1週間寝かせて旨みを凝縮している
その腕のほどは、カンパチに煎り酒で下味をつけた菜の花を合わせるセンスの良さや、専門店顔負けのスパイスカレーなどから窺える。
『飲食店 氵 さんずい』:「カボチャのマッシュと生ハム」
「カボチャのマッシュと生ハム」¥600。生ハムの塩味にカボチャの甘みがマッチ。
『飲食店 氵 さんずい』:「サフォークラム肉のスパイスマリネロースト」
2人前をゆうに超える盛りの良さも嬉しい「サフォークラム肉のスパイスマリネロースト」¥1,000。クミンの香りが食欲を刺激。
『飲食店 氵 さんずい』:日本酒が進むスパイスカレーで〆る!
パウダーやスパイスを12種前後ブレンドする「〆のスパイスカレー」¥700。
カレーは日によって内容が変わり、この日はポークカレー。
こだわりの燗酒は1合¥900〜!
『飲食店 氵 さんずい』:カンパチに合う出雲「天穏」(1合¥900)は、50~55℃の熱燗。カボチャと生ハムに合わせたい埼玉「小鳥のさえずり」(1合¥1,500)は、ぬる燗に。ラムには香川「悦凱陣」(1合¥1,300)を60℃のとびきり燗で
ひと皿300〜1,000円で気ままに楽しめる小料理に、温度帯にもこだわった渾身の燗酒を合わせればまさに至福。
毎日でも通いたくなるコスパ抜群の一軒だ。
■店舗概要
店名:飲食店 氵 さんずい
住所:豊島区南長崎5-17-15
TEL:03-4400-0115
営業時間:ランチ 11:30~14:00
ディナー 17:30~(L.O.21:30)
定休日:不定休
席数:カウンター3席、テーブル12席
東京カレンダー編集長 日紫喜康一郎
このレベルのお得感は未体験!60分3,800円って凄すぎやしない?
編集長8年目となりましたが、まだまだ自身を食通とはおこがましくて言えません(汗)。あ、インスタを再開しました!日々、食べまくっている逸品を載せまくります!!
三軒茶屋 『居酒屋ひでじろう』。なんと60分¥3,800で食べ飲み放題!
『居酒屋ひでじろう』:三軒茶屋駅から茶沢通りを下北方面に。周辺には人気の新しき酒場もいっぱいあったりして、常に賑っているエリアに堂々と佇む
プライベートでは自宅のある三宿近辺で飲むことが多く、歩いて行ける三軒茶屋はもはや“庭”。行きつけの銭湯もあり、ひと風呂浴びて向かいたいのは居酒屋だ。
三茶の名店『うち田』は大好きだが、ちょいお値段が張るので、どこかないかな?と探していたところ、昨年8月に誕生した『居酒屋ひでじろう』(三軒茶屋/居酒屋)を知った。
『居酒屋ひでじろう』:「タルタルあじふらい」は、ディルが入り、ひと味違うタルタルソースが主役!
クオリティに一抹の不安を感じたが、席に着くなり供された「タルタルあじふらい」を食して、杞憂であったと気付く。タルタルをケチ臭く盛らず、どっさりあるところも好ポイント。
店の顔である直野秀治郎さんの矜持すら伝わってくる逸品に感動しつつ、次々に思いのままメニューを頼む。そして、日本酒&焼酎を浴びるように飲んでいく。
『居酒屋ひでじろう』:「しょうが焼き」
「しょうが焼き」は、直野さんが100軒食べ歩いて研究したというメニュー。
肩ロースを使用し、5~8mmと厚めなので食べ応えあり。
『居酒屋ひでじろう』:「ポテさら」
「ポテさら」はわさびとピンクペッパーが効いていてピリッと爽やか。
『居酒屋ひでじろう』:「トムヤムしらたき」
「トムヤムしらたき」はオープン当初から女性人気の絶えないひと品。
『居酒屋ひでじろう』:〆のメニューである「ナポリタン」
〆のメニューである「ナポリタン」はケチャップを火入れして酸味を抑え、酒に合う濃い目の味付けがいい。
激安の秘訣は、食材ロスが出ないよう徹底した食材管理によるもの。
セレクトにこだわる日本酒や焼酎も飲み放題!
『居酒屋ひでじろう』:個人的には、蔵元の小宮山社長を存じ上げているので、八丈島の焼酎「麦冠情け嶋」があったときはテンションが上がった!
60分があっという間だと気付くこともそうない。そして、ほろ酔いで三宿に帰る道中は、ずっと満ち足りているのだ。
『居酒屋ひでじろう』(三軒茶屋/居酒屋)への投稿写真を紹介
「グルメな大人たちが唸った、東京の注目店」をブックマークしておこう!
いかがでしたでしょうか。
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また、グルカレでは便利にWeb予約ができるお店が増えています。
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