「あの多幸感、忘れません」桐谷健太がペアリングを愉しんだ、住宅街に潜む老舗ビストロ
インタビュー

2023年06月13日

「あの多幸感、忘れません」桐谷健太がペアリングを愉しんだ、住宅街に潜む老舗ビストロ

地元住民が「ちょっとしたハレの日に」と訪れる、祐天寺の老舗ビストロ『クレモンティーヌ・ビス(Clementine Bis)』(中目黒・祐天寺/ビストロ)。

そんな同店で、俳優・桐谷健太さんにワインとフレンチのペアリングを堪能していただいた。

この記事のポイント

住宅街に潜む老舗ビストロで、心温まる美しきひと皿を

『クレモンティーヌ・ビス(Clementine Bis)』:店のエントランスドア

『クレモンティーヌ・ビス(Clementine Bis)』:店のエントランスドア

祐天寺駅から歩いて3分。バス通りから1本入った住宅街の入り口で、帰路に着く人々の足元を照らす柔らかい灯り。

まるでそこだけがパリの街角のような、そんな佇まいながらも周囲に自然と馴染んでいるビストロがある。それが『クレモンティーヌ・ビス(Clementine Bis)』(中目黒・祐天寺/ビストロ)だ。

『クレモンティーヌ・ビス(Clementine Bis)』:空間を彩る床のタイルやランプもすべてフランスから運んだアンティーク

『クレモンティーヌ・ビス(Clementine Bis)』:空間を彩る床のタイルやランプもすべてフランスから運んだアンティーク

オーナーシェフの山岸英二さんは、「自分の店を持つなら静かなところで、と決めていた」そう。

だが、理想的な立地と店を開いたものの、当初は「3年持てばいい」と言われたこともあったという。だが2023年、店は21年目を迎えた。

『クレモンティーヌ・ビス(Clementine Bis)』:シェフの山岸英二さんと由紀子さん。穏やかな接客が評判

『クレモンティーヌ・ビス(Clementine Bis)』:シェフの山岸英二さんと由紀子さん。穏やかな接客が評判

今でこそ、こういった立地も珍しくないが、当時の挑戦心たるや、である。重ねた年月は人々に愛されている何よりの証拠だ。

「見た目が華やかで“映え”たとしても、味を覚えてもらえなければ意味がないよね、とは開店当初から話していること。お客さまには旬の食材をしっかりと味わっていただく。そこに心を砕いています」とはマダムの由紀子さん。

心と舌に鮮烈な印象を刻まれたのは、桐谷さんも同様だ。

華やかなひと皿の複雑な味わいが、次々とワインを呼ぶ

『クレモンティーヌ・ビス(Clementine Bis)』:「鮎の一皿」

『クレモンティーヌ・ビス(Clementine Bis)』:「鮎の一皿」

6月いっぱいまでの期間限定の魚料理「鮎の一皿」。
鮎と帆立をムースにし、中に詰めてから天火焼きにし、ふわふわの食感をキープ。

『クレモンティーヌ・ビス(Clementine Bis)』:「鮎の一皿」はきゅうりのジェノベーゼがいいアクセントに

『クレモンティーヌ・ビス(Clementine Bis)』:「鮎の一皿」はきゅうりのジェノベーゼがいいアクセントに

初夏のスペシャリテとして、根強いファンを持つ「鮎の一皿」。

ふわふわの身の下には、きゅうりのジェノベーゼが小気味いいアクセントとして清涼感をもたらす。ところが、「僕、実はきゅうりが得意でなくて」と桐谷さんから驚きの告白が。

でも「それなのに、めちゃくちゃ美味しく感じる。こんなの初めて」と満面の笑顔を見せた。

「ほろ苦い鮎に『アントル・ドゥー・メール』の白。完璧なペアリングは、プロの仕事です」

『クレモンティーヌ・ビス(Clementine Bis)』:「漢方和牛のハラミステーキ」

『クレモンティーヌ・ビス(Clementine Bis)』:「漢方和牛のハラミステーキ」

「抜群に美味しい」と桐谷さんも一瞬で食べた、肉料理のメインは「漢方和牛のハラミステーキ」。

「フレンチのコースといっても、こういった街のビストロならカジュアル。
ひと皿ごとをワインとペアリングで楽しめば、じんわりと時間が経っていって、じんわりと景色も変わっていく。で、じんわり酔っていくと、相手の見え方も変わってくる。
それがフレンチのコースの面白さだと思う。みなさん、するべきです」と桐谷さんは断言。

「ワインを飲みながら撮影……、なんて素敵な仕事なんですか!」

「デートでフレンチ、コースでペアリング。いいじゃないですか、すごくいいと思う」

『クレモンティーヌ・ビス(Clementine Bis)』:前菜のひとつ「炙り鰹とブルグールのセルクル」

『クレモンティーヌ・ビス(Clementine Bis)』:前菜のひとつ「炙り鰹とブルグールのセルクル」

前菜のひとつ「炙り鰹とブルグールのセルクル」。
梅肉とアンチョビのソースがソーヴィニヨン・ブランとよく合う。
現在、ディナータイムはコースのみ。すべて「クレモンコース」14,300円(3日前までに要予約)の一例。

幸せのシンボル「ポワトンくん」とは?

『クレモンティーヌ・ビス(Clementine Bis)』:架空のキャラクター「ポワトンくん」が店のあちこちに隠れている

『クレモンティーヌ・ビス(Clementine Bis)』:架空のキャラクター「ポワトンくん」が店のあちこちに隠れている

「魚(ポワソン)」と「豚(とん)」が融合した架空のキャラクターは、店舗を手掛けたデザイナーの子どものスケッチから生まれたもの。皿やカップのほか、店のあちこちに隠れている。

「白ワインと鮎を食べている瞬間のあの多幸感、忘れません」と、桐谷さん。

『クレモンティーヌ・ビス(Clementine Bis)』(中目黒・祐天寺/ビストロ)は、今日もまた、きっと誰かを幸せにしている。

■プロフィール
桐谷健太 1980年生まれ、大阪府出身。大学進学を機に上京し、2002年、俳優デビュー。2008年、ドラマ『ROOKIES』の平塚 平役で一躍有名に。2016年にはCMソング『海の声』で『第58回日本レコード大賞』優秀作品賞を受賞。現在は『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』で3年ぶりに仲井戸豪太役を演じる。
■衣装
ジャケット 140,800円〈タリアトーレ/トレメッツォ TEL:03-5464-1158〉、パンツ 28,600円〈バグッタ/バインド ピーアール TEL:03-6416-0441〉、時計 3,883,000円(ヴィンテージ)〈A. ランゲ&ゾーネ/コミット 銀座 TEL:03-6264-5310〉、その他スタイリスト私物

この記事の著者

東京カレンダー編集部

ビジネスシーンでも遊びでも東京の最先端トレンドを謳歌している一流の大人たちに向けた「より豊かで艶やかな人生」を送るためのグルメ&ライフスタイル誌「東京カレンダー」を発行。

  • ※ 本記事はグルカレに掲載されている情報や店舗が公開する情報、および当社にて取材を行った際の情報を元に料理名・予算等の情報を掲載しております。営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、最新の情報はお店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。