2023年05月29日
わざわざ足を運びたくなる、名店出身のイタリアン『笠井』。シンプルで力強い美味しさのパスタは必食!
その跡地に入った『笠井』(都立大学/イタリアン)も、同じ現象を起こしている。
タクシーを使ってでもわざわざ足を運びたくなるのは、普通に見えて普通じゃないイタリアンがあるからだ。
中華の名店跡地を居抜きで活用したユニークな一軒
『笠井』:『笠井』(都立大学/イタリアン)を目指す者だけが訪れるから、それっぽいファサードは必要ない
都立大学駅から徒歩12分。『八雲茶寮』と同じ「自由通り」にあり、その100mほど手前。飲食店らしい看板はなく、前を通っただけではなんの店か分からない。
目印は通りにさりげなく立つ『笠井』(都立大学/イタリアン)の標識。殺風景な外観の扉を開くとL字型カウンターがあり、厨房には中華鍋。
イタリアンながら、前店の厨房がそのまま生かされ、それはシェフの笠井 篤さんによるあえての判断だ。
『笠井』:程よい奥行きのあるカウンター
程よい奥行きのあるカウンターは、どの席からも中華式厨房の様子がよく見える。
外観と同じく派手さはないが、“笠井宅”に招かれたような和やかなムードが漂う。余計なインテリアはなくとも鍋を振るアクションがひとつの装飾となる。
カウンターのみ。
ふたり横並びで座れば、緊張感も和らぎ会話も弾むはず!
パスタはシンプルで力強い美味しさ!
『笠井』:シェフの笠井 篤さん。大阪から上京して『アロマクラシコ』で基礎を学び、渡伊。帰国後は『TACUBO』を経て独立を果たした
中華鍋を超強火にかけてパスタを茹でる笠井さんが言う。
「これだとずっと対流しているのでパスタがすごく躍る。自分好みです」
北イタリアと『TACUBO』などで腕を磨き、名店跡地を譲り受けたシェフの狙いは正解だとパスタを食べて知るだろう。
『笠井』:「高知県産釜揚げしらすのアラビアータ」
例えば「しらすのアラビアータ」の麺表面のハリや喉ごしの良さは、中華鍋のおかげもあるはず。
しらすは麺と絡むことでニュアンスが変化していく。
1人¥12,500ほど。
これから仲を深めていきたいふたりにもおススメ。
知っている料理の未知なる味わいが舌の肥えた男女を住宅街まで呼び寄せる
『笠井』:「生ハムとブリオッシュ」はコース冒頭に登場
その他、生ハムやラムのグリルなど、出てくる料理に目新しさはさほどない。
しかし、生ハムは熱いブリオッシュ生地の上でふわっと繊細な舌触りになっているし、ラムはフライパンひとつで焼いただけなのにやたらとジューシーだ。
『笠井』:噛むとミルキーな肉汁を感じる「フランス・リムーザン地方産のラムのグリル」
ベシャメルとチーズのソース、卵をかけた「イタリア産ホワイトアスパラ」。アスパラの芯は砕いてソースに。料理はすべてコースより
知っている料理の未知なる味わいや香りを引き出す秘訣を聞くと、「ちゃんとやる。タイミングをずらさない」とシンプルな答え。
だがその言葉の裏には、最適解の仕込みや徹底的な“できたて”への追求心があり、だから舌の肥えた男女を住宅街まで呼び寄せる。
そんな集客もまた、奥目黒らしきイタリアンの個性なのだ。
『笠井』(都立大学/イタリアン)へのアクセス・行き方は?
都立大学駅北口を出て、中根小通りを進む。都立大学駅前交差点を左へ曲がり、目黒通りへ。
「モスバーガー都立大学店」の手前で右折し、そのまままっすぐ道なりに進む。
自由通り(都道426号)に出たら、横断歩道を渡り右折。
しばらく歩くと左手のマンション1階にひっそりと『笠井』(都立大学/イタリアン)はある。
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恋人から歓喜の一言を引き出せるはず。